Google×Kaggle「AIエージェント5日間講座」の中身|Day1からDay5まで、ホワイトペーパー・ポッドキャスト・コードラボを全部読み解く
MCP、エージェントスキル、仕様駆動開発。35万人が学んだ講座の専門用語を、実際のコードラボの中身まで含めて日本語で解説します。各日の教材(ホワイトペーパー・ポッドキャスト・コードラボ)への直リンク付き。
5日間の講座、と言われても中身が見えんと手が出せませんよね。目次を開いても「Agent Tools & Interoperability」「Spec-Driven Development」と英語で並んでいるだけで、自分の仕事に関係あるのか判断がつかん。この記事では、Day1からDay5までが何の話なのかを、①考え方を説明するホワイトペーパー、②対談形式のポッドキャスト、③実際に手を動かすコードラボの3つに分けて、全部まとめて日本語で説明します。各教材への直リンクも置いておきます。
Day1からDay5、結局「知る」だけか「作る」まで進むのか
先に答えを言います。この講座は、知識を仕入れるだけの講座やありません。ホワイトペーパーとポッドキャストで「なぜそうするか」を理解し、コードラボで実際にAntigravityというGoogleの開発環境を使って手を動かすところまでが1セットです。Day1からDay4までは無料の範囲で完結し、Day5だけ本番デプロイの一部が任意(課金アカウントが必要)という構成になっています。
この記事を読めば、「聞くだけで終わる部分」と「実際に手を動かす部分」の境界がどこにあるか、はっきり分かります。
この記事で分かること
- Day1からDay5が、それぞれ何を解決するための日なのか
- MCP、エージェントスキル、仕様駆動開発を、日常の言葉で言うと何なのか
- 各Dayのコードラボで実際に何を作るのか(画面のボタン名、作るファイル名まで具体的に)
- 各教材(ホワイトペーパー・ポッドキャスト・コードラボ)へ行く道順とURL
なお、教材の入口はここです。自己ペース版のLearn guideを開けば、以下で紹介する各日の教材が全部並んでいます。
5日間は「作る」から「任せ続ける」までの道のり
先に全体像を言うてしまいます。
この講座、5日間の並び方に意図があります。Day1で作り、Day2で外の道具につなぎ、Day3で毎回のやり方を覚えさせ、Day4で人が止める場所を決め、Day5で毎日動く状態にする。1日目から順に「一回動いた」を「毎日任せられる」へ育てていく構成です。
そして、各Dayの教材は必ず3点セットです。
- ホワイトペーパー(なぜそうするのか、という考え方の論文)
- ポッドキャスト(ホワイトペーパーの内容を対談形式で噛み砕く音声解説)
- コードラボ(Antigravityという開発環境を実際にインストールして、手を動かして作る演習)
わしの実感でも、ホワイトペーパーだけ読んで「分かった気になる」人が一番多い。でも本当に力になるのは、コードラボで実際にボタンを押した経験です。ですから、この5日間で価値があるのはDay1やのうて後半です。Day3とDay4のコードラボを触らずにAIエージェントを業務へ入れるのは、正直おすすめできません。

Day1|自分で書くのをやめて、意図を渡す
初日のテーマは「エージェント入門とバイブコーディング」です。
ホワイトペーパーが教えていること
ホワイトペーパーのタイトルは「The New SDLC with Vibe Coding」。SDLCというのはソフトウェア開発の一連の流れを指す言葉ですが、要は「作り方そのものが変わった」という話です。手でプログラムの文法を書く時代から、やりたいことを言葉で伝える「バイブコーディング」の時代へ、そしてそこから規律のあるエージェント開発(アージェンティック・エンジニアリング)へ、という3段の流れが書かれています。
わしが面白いと思うたのは、ここで使われている「factory model(工場モデル)」という言い方です。開発者はもう自分で部品を削る職人ではなく、工場の組み立てラインを設計する立場になる。何を評価するか、どこまでを許すか、どんな情報を渡すか。この3つを設計する人になる、というわけです。
もう1つ、覚えておいてほしい数字があります。AIが書いたコードは開発の全体を爆速化しますが、実際にはAIそのものより「AIを脱線させないための足場(ハーネス)」の設計に9割の価値がある、という考え方がこのホワイトペーパーの核心です。良いツールを選ぶことより、良い使い方の型を作ることのほうが効くという話やと思うてください。
小規模事業者にとってのDay1
この転換、実は非エンジニアのほうが飲み込みが早いと思うとります。
理由は単純です。小さい会社の経営者は、もともと「自分で作らずに人へ頼んで、上がってきたものを検品する」ことを毎日やっとるからです。外注先に指示を出して、納品物を見て、ここを直してと戻す。バイブコーディングの流れは、これとほとんど同じです。文法を知らんことは弱点になりません。むしろ「何を作ってほしいか具体的に言えるか」「上がったものの良し悪しを判断できるか」が効いてきます。そっちは経験の勝負です。
コードラボで実際に手を動かすこと
Day1には2本のコードラボがあります。
まずAntigravity(開発環境本体)とAntigravity IDEをパソコンにインストールし、Googleアカウントでログインします。そのあと、実際に手を動かす内容は次の通りです。
- 作業用フォルダを作り、Antigravityへ新規プロジェクトとして登録する
- プロジェクト内でAIエージェントに話しかけ、ニュースを取ってきてもらうなど簡単な質問をする
- 「毎日18時に定例会議のリマインダーを出す」「20分ごとに休憩を通知する」といったスケジュール機能を、自然言語の指示だけで作る
.agents/skills/code-reviewというフォルダにSKILL.mdを作り、「コード審査スキル」という自分専用の手順書を初めて作ってみる- 「Node.jsのアプリを作って」と頼み、AIが出す実装計画・タスクリスト・作業記録(アーティファクト)を確認する
つまりDay1の前半は、環境構築と「AIに指示を出して、AIの仕事ぶりを見る」体験に使います。
②Google AI StudioでWebアプリを作り、Cloud Runへ公開する
後半は、実際に動くアプリを1つ作って、インターネット上に公開するところまでやります。作るのは「雪が降るボタン」と「風船が上がるボタン」の2つがあるだけのシンプルなアプリです。
- Google AI Studioを開き、使う言語モデルとフレームワークを選ぶ
- 「こういうアプリを作って」という説明文を入力し、「Build」を押す
- AIが自動生成したアプリを画面で確認し、気になるところを直す
- 画面右上の「Publish」ボタンを押し、プロジェクトを選ぶ
- 「Publish your app」を実行すると、数分でアプリのURLが発行される
- 確認が終わったら「Unpublish app」で公開を止める
ここで一番大事なのは料金の話です。「Google Cloud Starter Tier」という枠を使えば、クレジットカードなどの課金アカウント登録なしで、1つのCloud Run地域につき完全なアプリを2つまで無料で公開できます。 Day1の時点では、お金の心配は要りません。

Day1の教材一覧:まとめポッドキャスト / ホワイトペーパー / コードラボ:Antigravity導入編・Cloud Run公開編
Day2|AIに、会社の道具を触らせる
2日目は「エージェントのツールと相互運用」です。ここで初めて、AIが自分の環境の外へ手を伸ばします。
ホワイトペーパーとポッドキャストが教えていること
出てくる言葉が多いので、整理します。
MCP(Model Context Protocol)は、AIとデータの置き場所をつなぐための共通の規格です。A2A(Agent2Agent)はAI同士が仕事を受け渡すための規格。A2UIはAIが画面そのものを作って人へ見せる仕組み。AP2とUCPは、機械と機械のあいだで安全に支払いや取引をするための規格です。
なぜ規格の話に1日使うのか。ホワイトペーパーの言い方を借りると、毎回その場しのぎの連携を書いていると技術的な借金が積み上がるからです。会計ソフトにつなぐたびに専用の仕組みを作り、メールにつなぐたびにまた別の仕組みを作る。数が増えると誰も面倒を見られなくなります。
ポッドキャストでは、これを「独自規格の電源コード」にたとえていました。最新鋭のスマートTVを買ってきても、電源コードが変な独自形状だったら、家じゅうのコンセントに挿さりません。危険な自作アダプターを作るか、テレビをただの置物にするか。標準化されていないAIの連携も同じで、無理につなごうとする摩擦が開発全体を止めてしまう、という説明でした。

数字で見ると分かりやすいです。5つのAIモデルと10個のツールを、それぞれ専用コードでつなぐと50個のコードを維持する必要がありますが($N \times M$の掛け算)、MCPという共通の差し込み口を使えば、モデルとツールをそれぞれ1回ずつ繋ぐだけで済むので15個に減ります($N + M$の足し算)。
請求書チェックを任せる話でいえば、Day2が担当するのは「メールの受信箱を見に行く」「会計ソフトへ書き込む」「取引先リストと照合する」の部分です。ここがつながらんと、AIは賢いけど何も触れない状態のままです。
コードラボで実際に手を動かすこと
前日インストールしたAntigravityを、今度はターミナル(黒い画面)から操作する練習です。
- Antigravity CLIをインストールし、Googleアカウントでログインする
/helpで使えるコマンドを確認し、/configで色やツールの権限を変更する- 「BigQueryのリリースノートを表示するPythonのFlaskアプリ」をAIに自動生成させ、GitHubへ登録する
- 「コピー機能を追加して」「CSV出力を追加して」「ダークモード切り替えを付けて」と、機能追加を自然言語だけで依頼する
- 請求書の画像からデータを抜き出す、ファイルを整理する、といった日常業務寄りのタスクも試す
このコードラボを通じて、AIが出す「確認していいですか」という承認プロンプトに答えながら、AIが自律的に作業を進める感覚をつかみます。
②Google Developer Knowledge MCPサーバーを試す
MCPサーバーを実際に1つ、Antigravityへつなぐ演習です。
- Google Cloudでプロジェクトを用意し、Developer Knowledge APIを有効にしてAPIキーを発行する
- Antigravityの設定ファイルに、MCPサーバーのURLとAPIキーを追加する
- 「Installed MCP Servers」の一覧に接続先が表示されているか確認する
- 「Google Workspaceは MCPサーバーに対応していますか?」のように、Google公式ドキュメントを踏まえた質問をAIに投げて答えを確認する
このMCPサーバーをつなぐと、AIは古い学習データやWebスクレイピングに頼らず、Googleの最新の公式ドキュメントをリアルタイムで参照できるようになります。ハルシネーション(AIの知ったかぶり)を減らす、実務的な効果がある演習です。
Day2の教材一覧:まとめポッドキャスト / ホワイトペーパー / コードラボ:Antigravity CLI編・MCPサーバー接続編
Day3|毎回の説明をやめて、やり方を置いておく
3日目は「エージェントスキル」。わしが非エンジニアに一番効くと思うとるのが、この日です。
ホワイトペーパーとポッドキャストが教えていること
ホワイトペーパーには「context rot(コンテキストの腐敗)」という言葉が出てきます。AIへ渡す情報が膨れあがって、肝心なことがぼやけていく現象です。心当たりのある方は多いと思います。長い会話を続けていくと、最初に伝えた前提をAIが守らなくなる。あれです。
その対策として出てくるのが「Agent Skills」です。仕組みはえらいシンプルで、SKILL.mdという名前のファイルを真ん中に置いたフォルダを作り、そこにやり方を書いておく。AIは必要になった時だけその中身を読みに行きます。全部を最初から抱え込ませず、要るときに要る分だけ開く。この「progressive disclosure(段階的に開示する)」という考え方で、1体のAIが何百通りもの専門役に化けられる、と書かれています。
ポッドキャストでは、これを「レストランの厨房」にたとえていました。SKILL.mdのメタデータ(説明文)は表の「メニュー」、scripts/フォルダは厨房のミキサー、references/フォルダはおばあちゃんの秘伝のレシピ本。シェフ(AI)は最初からミキサーを回したりレシピ本を熟読したりせず、メニューだけを見て「自分は何が作れるか」を把握しておき、客が注文した瞬間に初めてミキサーを回す、という説明です。

数字も紹介されていました。SkillsBench(2025年)の調査では、設計が不十分なスキルの19%は、スキルが全く無い場合よりもAIの精度を悪化させた、というものです。「スキルを作れば作るほど良い」わけではなく、質の低いスキルはむしろ害になる、という点は覚えておいてください。
これは業務マニュアルをフォルダに置くのと同じです。SKILL.mdは、ただのテキストファイルです。プログラムやありません。「請求書を見るときは、まず発行日を確認する。税抜きと税込みを必ず区別する。金額が10万円を超えたら人へ回す」と日本語で書けば、それがスキルになります。
コードラボで実際に手を動かすこと
4段階のレベルで、実際にスキルを配置していく演習です。
- サンプルのGitHubリポジトリをクローンし、4つのスキルフォルダを
.agents/skills/へ配置する - レベル1「git-commit-formatter」:指示文だけのスキルで、コミットメッセージの書式をAIに教える
- レベル2「license-header-adder」:
resources/内のテンプレートを読み込ませ、ファイルへライセンス表記を追加させる - レベル3「json-to-pydantic」:
examples/内の入出力サンプルから、変換パターンをAIに学習させる - レベル4「database-schema-validator」:
scripts/内のPythonスクリプトを実際に呼び出させ、確定的な検証処理をやらせる - 「What skills are available?」と聞くか、
/skillsコマンドで、読み込まれたスキルの一覧を確認する
「指示文だけ」から「スクリプトを呼び出す」まで、スキルの作り方には段階があることが体感できる構成です。
後半は、実際に使える顧客サポートエージェントを1つ組み立てます。
- Gemini APIキーまたはGoogle Cloudの認証情報を設定し、
agents-cliをインストールする - Antigravityに指示して「customer-support-agent」というワークフロー型のエージェントの骨組みを作らせる
- ユーザーの質問を「配送に関する質問」か「関係ない質問」かに自動で振り分けるロジックを組み込む
- 配送関連の質問は専門のFAQエージェントへ回し、関係ない質問は丁寧に断る処理を作る
- 自動リントでコード品質を確認し、ローカルのWebプレイグラウンドで実際に質問を投げて動作確認する
小規模事業者の方にとって、ここは技術の話やのうて棚卸しの話になります。自分の仕事のやり方を書き出せる人ほど、AIをうまく使えるようになる。わしはそう見とります。
Day3の教材一覧:まとめポッドキャスト / ホワイトペーパー / コードラボ:スキル体験編・エージェント構築編
Day4|人が止める場所を、先に決めておく
4日目は「セキュリティと評価」。5日間で一番地味に見えて、業務で一番効く日です。
ホワイトペーパーとポッドキャストが教えていること
ホワイトペーパーは「Effective Trust(実効的な信頼)」という考え方を軸にしています。AIは同じ入力でも毎回同じ答えを返すとは限らんので、一度検査して合格したら終わり、という信頼の作り方が通用しません。だから継続して確かめ続ける仕組みを7本柱で組む、という内容です。
中身から3つだけ紹介します。
1つは使い捨ての隔離環境です。AIに何かを実行させるときは、その場だけの箱の中でやらせて、終わったら箱ごと捨てる。外の環境を壊されん作りにしておく発想です。
2つ目が「slopsquatting」。これは知っておく価値があります。AIは時々、実在しない部品の名前を自信たっぷりに挙げてきます。攻撃する側はその「AIがよく間違える名前」を先回りして本物として登録しておき、信じて取り込んだ人の環境に悪いものを入れる。AIの幻覚を逆手に取った手口です。
3つ目が軌跡の評価です。結果だけを見て正解不正解を判定するのでは足りず、そこへ至る手順を記録して評価する。答えは合っとるけど途中でとんでもないことをやっとる、という状態を見つけるためです。ポッドキャストでは、AIが「返金は成功したが、その途中でユーザーの配送先住所を誤って削除していた」という失敗例が紹介されていました。最終結果だけ見ていたら、この事故には気づけません。
コードラボで実際に手を動かすこと
①経費承認エージェントにhuman-in-the-loopを組み込む
「人が割り込める場所」を実際にコードとして作る、この講座で一番実務に近い演習です。
- Antigravityをインストールし、ADKのスキルセットを導入する
- 「100ドル未満は自動承認(AIの判断すら不要)」「100ドル以上はAIが分析したうえで人間が確認」という金額での分岐ロジックを作る
- AIに渡す前の段階で、社会保障番号やクレジットカード番号などの個人情報をマスクする処理を入れる
- 不正な指示(プロンプトインジェクション)を検知したら、AIに判断させず直接人間の審査へ回す
- ADK 2.0の「RequestInput」機能を使い、「承認」「却下」ボタン付きの確認フォームをワークフローの途中に挟む
- 人間が確認するとワークフローが再開される、という一連の流れをブラウザ画面で確認する
請求書チェックの例で言えば、答えははっきりしとります。読み取りと一覧作成はAIに任せ、支払いを実行する直前だけ人が見る。取り返しのつかない操作の前に、必ず1回止める。この線を引いてから作り始めると、あとで揉めません。

もう1本は、AIが書いたコード自体の安全性をチェックする演習です。
agents-cliで、わざと弱点(ハードコードされたAPIキー)を仕込んだ買い物アシスタントエージェントを生成する.agents/CONTEXT.mdに「入力検証は必ずPydanticスキーマを使う」「シェルの直接実行は禁止」といった安全ルールを書く- GoogleのAPIキーのパターンを検出する独自のセキュリティスキャンルールを作る
git commitのたびに、末尾の空白削除やセキュリティスキャンが自動で走るように設定する- 実際にコミットすると、ハードコードされたAPIキーが検出されてコミットが失敗し、AIが自動で修正して再度コミットを試みる様子を確認する
- なりすまし・改ざん・機密情報漏洩など6種類の脅威を分析する「脅威モデリング」のスキルも使ってみる
セキュリティのチェックを、後から人間が見つけるのではなく、コミットの瞬間に自動で弾く仕組みを作る、という体験です。
Day4の教材一覧:まとめポッドキャスト / ホワイトペーパー / コードラボ:経費承認エージェント編・セキュアコーディング編
Day5|コードは捨てる。仕様書を残す
最終日は「仕様駆動の本番グレード開発」です。
ホワイトペーパーとポッドキャストが教えていること
主役はSpec-Driven Development(仕様駆動開発)。言うてることはなかなか大胆で、コードは使い捨てのものとして扱い、振る舞いを書いた仕様のほうを正典とする、という考え方です。仕様の書き方にはGherkinという形式を使います。
Gherkinというと難しそうですが、形はこうです。「ある状況で(Given)、こうしたら(When)、こうなる(Then)」。それだけです。
もう1つ、意外な研究結果が紹介されていました。指示書の書き方を「普通のMarkdown」から「見出しはMarkdown、3階層より深い設定はYAML」というハイブリッド形式に変えるだけで、AIの精度が最大40%も変わる、というものです(YAML 51.9%に対しJSON 43.1%)。文字の飾りではなく、文書の「構造」そのものがAIの理解に直結する、という話でした。
ポッドキャストでは、AIによる暴走事故の実話も紹介されていました。AIに「ボタンを作って」と頼んだところ、AIが作ったボタンの遷移先が未設定だったため、AIが自分で判断して社内の旧式メールシステムへ接続し、同僚50人へ支離滅裂なメールを自動送信してしまった、という事故です。プロンプトに「メールを送るな」と書くだけでは防げないため、外部の「ポリシーサーバー」でツールの使用権限そのものを機械的に制限する必要がある、という教訓が語られていました。
非エンジニアには、むしろ希望のある話です。この考え方が広まると、価値の置き場所が変わります。コードを書ける腕前ではなく、「うちの仕事はこういう決まりで動いとる」を正確に書ける力が資産になる。

コードラボで実際に手を動かすこと
Day5のコードラボは2本とも任意です。課金を有効にしたGoogle Cloudのプロジェクトが必要になるため、公式も「読み流して全体像をつかむだけでもよい」としています。無理に手を動かす必要はありません。
①本番のGoogle Cloudへエージェントをデプロイする
- Google Cloudでプロジェクトを用意し、必要なAPI(AI Platform、Cloud Trace、Cloud Buildなど)を有効にする
- Day4で作った経費承認エージェントを、
agents-cli scaffold enhanceで本番用のファイル一式に変換する - 依存関係を固定し、リハーサル実行で問題がないか確認する
agents-cli deployを実行し、5〜10分ほどでAgent Runtimeへ実際にデプロイする- Cloud ConsoleのPlaygroundで動作確認し、Cloud Traceで処理の記録を監視する
- 確認が終わったら、課金が発生し続けないよう作ったリソースを手動で削除する
このコードラボの説明ページには明記されていませんが、Agent Runtimeのようなマネージドサービスは課金アカウントが前提の機能です。試す場合は、最後の削除作業まで必ず行ってください。
- Antigravityに指示して、経費の承認待ち一覧を表示するダッシュボード画面(FastAPI)を作らせる
- そのダッシュボードをCloud Runへ公開し、エージェント実行環境と連携できる権限を与える
- 経費イベントを受け取る仕組み(Pub/Sub)を2つ作り、届いたデータをそのままエージェントのAPIへ直接渡す設定にする
- 100ドル未満の経費は自動承認されてダッシュボードに表示されず、100ドル以上だけがダッシュボードに表示され、マネージャーが承認・却下できることを確認する
Day1で作った「ボタンを押すだけのアプリ」から、Day5では「実際の業務データが自動で流れ込み、金額によって人の判断を挟む本番システム」まで育っている、という流れが体感できる最終回です。
Day5の教材一覧:まとめポッドキャスト / ホワイトペーパー / コードラボ(いずれも任意):本番デプロイ編・フロントエンド連携編
通しの具体例|請求書チェック係が5日間でどう育つか
ここまでの話を、1つの業務で並べ直します。左の列を自分の業務に置き換えて読んでみてください。なお、講座自身のコードラボが実際に扱う題材は「経費承認エージェント」でしたが、考え方はそのまま請求書チェックにも当てはまります。
| 日 | その日が受け持つこと | 請求書チェック係の場合 | あなたの業務では |
|---|---|---|---|
| Day1 | 作る | 届いたPDFから日付・金額・取引先を読み取って一覧にする画面を作る | ____ |
| Day2 | つなぐ | メールの受信箱と会計ソフト、取引先リストへ手を伸ばせるようにする | ____ |
| Day3 | やり方を覚えさせる | 税抜きと税込みの区別、10万円超は人へ回す決まりをSKILL.mdへ書く | ____ |
| Day4 | 止める場所を決める | 支払い実行の直前に、人の確認を必ず1回挟む | ____ |
| Day5 | 動かし続ける | 毎朝9時に前日分の一覧が届く状態にし、記録を残す | ____ |
この表を埋められたら、講座の使い方はもう分かっとると思います。逆に埋まらん場合は、任せたい業務がまだ絞れてないということです。そこは先に決めたほうが早い。
よくあるつまずき
Day1で満足して止まってしまう
一番多い落とし穴やと思います。初日で何かが動くので、そこで「もう分かった」となる。ただ業務で使えるかどうかを決めるのはDay3とDay4です。動いたものを毎日回せる状態にする話は、後半にしか出てきません。時間が足りんときは、Day1を軽く済ませてDay3へ進むほうが得です。
ホワイトペーパーだけ読んでコードラボを飛ばしてしまう
考え方は分かった気になっても、実際にAntigravityを動かした経験がないと、いざ自分の業務へ応用するときに手が止まります。特にDay3のスキル作成とDay4のhuman-in-the-loopは、一度でも自分の手でSKILL.mdを書いたり承認ボタンを押したりしたほうが、体に残ります。
用語を全部覚えようとする
Day2だけでMCP、A2A、A2UI、AP2、UCPと5つ出てきます。これを全部押さえようとすると、初日から息が上がります。いま自分に関係あるのはMCPだけです。AIが外の道具を触れるようにする規格。残りは「そういう方向へ進んどるらしい」と頭の端に置いておけば十分です。
Day5を全部やろうとする
Day5のコードラボは2本とも任意で、課金アカウントが必要です。公式も「読むだけでよい」と言うてくれとります。まだ何も業務で動かしとらん段階で本番デプロイの手順を追いかける必要はありません。
よくある質問
5日分すべてやる必要がありますか
ありません。順番も自由です。いま任せたい業務があるなら、Day3とDay4を先に読んでも意味は通ります。教材に期限はないので、必要になった日へ戻る使い方でも大丈夫です。
コードラボは飛ばしてもいいですか
読み物と音声解説だけでも、考え方はかなり入ります。ただDay3のスキルとDay4の人が割り込む設計は、一度でも手を動かしたほうが体に残ります。この2つだけは、できれば触ってみてください。
コードラボにお金はかかりますか
Day1からDay4のコードラボは、課金アカウントの登録なしで完了できます(Day1のCloud Run公開も、Google Cloud Starter Tierという無料枠の範囲内です)。課金アカウントが必要になるのは、Day5の任意コードラボ(本番のAgent Runtimeへのデプロイ)だけです。
MCPは自分で作らないといけませんか
いえ、対応しているものを追加して使うのが基本です。Day2のコードラボも、既にあるMCPサーバーをAntigravityへ追加する内容です。自分で一から作る話は、この講座の中心ではありません。
英語のホワイトペーパーはどう読めばいいですか
わしはブラウザの翻訳をかけて通しで読み、気になる章だけAIへ「この章の要点を日本語で5行にまとめて」と頼んで確認しとります。全部を精読する必要はありません。目次を訳して、自分に関係ある章だけ拾えば十分です。
まとめ|順番そのものが教材です
- 5日間は、作る・つなぐ・やり方を覚えさせる・止める場所を決める・動かし続ける、という順に並んどる
- 各Dayはホワイトペーパー(考え方)・ポッドキャスト(対談解説)・コードラボ(実際に手を動かす演習)の3点セット。業務で使えるかどうかを決めるのはDay3のスキルとDay4の人が割り込む設計
- コードラボはDay1〜Day4まで無料の範囲で完結する。Day5の本番デプロイだけは任意かつ課金アカウントが必要
用語の英語に押されがちですが、順番を見れば言うてることは筋が通っとります。要は「一回動いた」を「毎日任せられる」へ持っていくための5日間です。
教材はここから入れます。
Agents: Intensive Vibe Coding Learn guide(Day1からDay5の教材一覧)
講座そのものの規模や、修了バッジの扱いについては前回の記事で整理しました。
35万人が受けたGoogle×Kaggle「AIエージェント5日間講座」とは
そして、5日分のうちどこを取ってどこを捨てるか。非エンジニアと小規模事業者向けの線引きは次の記事で書いています。
非エンジニアと小規模事業者が、この講座のどこだけ使えばいいか
AI大将の公式LINEでは、こういう英語の技術情報を、小さい会社の実務で使える形に噛み砕いてお届けしています。用語で足が止まるのがもったいないと感じた方は、覗いてみてください。
