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AIの性能ベンチマーク|仕事を最後までやり切る力を測る8つ(SWE-bench・Terminal-Bench・τ-bench)

SWE-bench、SWE-bench Verified、SWE-bench Pro、HumanEval、Terminal-Bench、BFCL、τ-bench、IFEval、AutomationBench。「賢さ」ではなく「作業を最後までやり切れるか」を測る指標を、それぞれ4点で説明します。AIが文字数や形式の指示を守らないのは何の性能の問題なのか、GPT-4でも76.89%という数字から解説します。

AI大将が、始まりから終わりまで一本につながった作業の道のりを指しながら、やり切る力を説明している図

「自分はコードを書かへんから、この回は関係ない」。そう思って離脱しそうになった人へ、先に言うとく。

この回でいちばん効くのは、コードの話やない。AIに文章を書かせたとき、指示をちゃんと守ってくれるかの話や。「400字以内で」「敬語で」「箇条書き3つで」と頼んだのに、なぜか守られへん。あの現象を測る試験が、ちゃんとこの回に出てくる。

第2回では、AIが「知っているか」「考えられるか」を扱った。この回は違う。作業を、最後まで崩さずにやり切れるかを測る8つの試験(HumanEval、SWE-bench、SWE-bench Verified、SWE-bench Pro、Terminal-Bench、BFCL、τ-bench、IFEval、AutomationBench、FrontierCode)を、同じ4行の型で開けていく。

「賢い」と「仕事が終わる」は、別の力や

第2回で扱った試験は、「知ってるか」「正しく推論できるか」を測るものやった。この回の試験は違う。作業を最後まで崩さずにやり切れるかを測る。

この2つは、同じモデルの中でも一致しません。知識も推論力も高いモデルが、長い作業の途中でルールを忘れたり、指示の一部を落としたりすることは普通に起こります。逆に、知識のクイズではそこまで目立たなくても、決められた手順を最後まで守り切るのが得意なモデルもいます。

「賢そうやから、仕事も丸ごと任せて大丈夫やろ」という判断は、この2つを混同したところから生まれる。この回は、その混同をほどくための8つや。

「知ってる力」と「やり切る力」を2本の柱として並べた図。同じモデルでも高さが違うことを示す

HumanEval|1つの関数を書く164問

①HumanEvalは、Pythonのみを対象にした164問の試験です。関数のシグネチャと説明文(docstring)が渡され、その説明を読んで関数の本体を書きます。採点は生成したコードを実際に動かし、1問あたり平均7.7個のユニットテストを全通過したら正解です。OpenAIが2021年7月に発表しました。

問題文はすべて手書きで作られています。理由も論文に明記されていて、モデルがGitHubの大部分を学習データにしているため、既存の問題集をそのまま使うと、解答そのものが学習データに含まれてしまうからです。

②人間に例えると、新人プログラマーに「この説明どおりの、小さな関数を1つ書いて」と頼む小テストみたいなもんや。

③点数が高いモデルは、説明文から意図を正しく汲み取り、小さな部品を単体で正確に組み立てられるということになる。

④この点数が高くても、大きな仕事を任せて大丈夫、という意味やない。164問はどれも1つの関数の範囲に収まる話で、複数のファイルにまたがる作業や、既存のコードとの整合を取る作業は含まれてへん。ただ、AIに何か小さな作業を1つだけ頼むような場面(表計算の数式を1個作らせる、短い定型文を1つ生成させるなど)では、この力がそのまま活きる。

SWE-bench|平均438,000行を渡される2,294件

①SWE-benchは、実在するGitHub Issueの本文と、リポジトリのスナップショット一式を渡し、そのIssueを解決するパッチを書かせる試験です。12のリポジトリ・Pythonのみを対象に、プリンストン大学などが2023年10月に発表し、ICLR 2024に採択されました。問題数は2,294件です。

渡されるコードベースの規模は、平均438,000行・3,010ファイルにのぼります。Issue本文は平均195語(最大4,477語)です。採点は、修正によって失敗から成功に変わるべきテスト(FAIL_TO_PASS)と、既存機能が壊れていないかを確認するテスト(PASS_TO_PASS、中央値51件)の両方を全通過して、初めて正解になります。部分点はありません。

②人間に例えると、新人エンジニアに「このバグ報告、直しといて」と頼むのに近い。ただし渡されるのは1つの関数やなく、438,000行のコードベースまるごとや。

③点数が高いモデルは、既にある大きなコードを読んで、原因を見つけて、直せるということになる。ここが、HumanEvalとの決定的な違いになる。「小テストで満点を取れる人が、会社の実際のバグを直せるとは限らへん」。この差が、そのまま438,000行という数字に表れとる。

④コードを書かない人には、点数そのものは関係が薄い。ただ、AIに作らせたプログラムの不具合を後から直してもらう、という場面には、この試験がそのまま効いてくる。

HumanEvalとSWE-benchの規模の対比。1つの関数と平均438,000行・3,010ファイルを、紙1枚と書類の山で表す

Verified と Pro で、何が変わるか

SWE-bench Verifiedは、OpenAIが2024年8月に発表した500件のバージョンです。オリジナルから1,699件をランダム抽出し、93名の経験あるPython開発者が人手レビューしました。3人が独立に0〜3の重大度を付け、最も重いラベルを採用する方式です。見つかった問題は、Issue記述が不十分なもの38.3%、テストが厳しすぎて正しい解答を落とすもの61.1%、開発環境の問題など。結果、オリジナルの68.3%が除外されました。難易度は15分未満/15分〜1時間/1〜4時間/4時間超の4段階で見積もられています。

SWE-bench Proは、Scale AIが2025年9月に発表した1,865件・41リポジトリのバージョンです。Python・JavaScript・TypeScript・Goを対象に、Public 11リポジトリ・Held-out 12リポジトリ(非公開)・Commercial 18(スタートアップの独自コード)の3分割で構成されています。汚染対策として、コピーレフト(GPL等)ライセンスのリポジトリを意図的に選んでいます。MIT・Apacheのような寛容ライセンスのコードは、事前学習コーパスに入りやすいためです。1〜10行の些細な修正は除外されていて、参照解答は平均107.4行・4.1ファイル、100問以上が100行を超えます。論文時点のスコアは、PublicでClaude Sonnet 4.5が43.6%、CommercialでClaude Opus 4.1が17.8%でした。

SWE-bench 2,294件からVerified 500件、Pro 1,865件へ。それぞれの作り方の違いを示す図

名前の後ろに何も付いていない「SWE-bench」と、「Verified」「Pro」の3つは、それぞれ中身も難易度も違う。数字を見るときは、どの版の話かを必ず確認する習慣をつけといたほうがええ。

Terminal-Bench|パソコンを渡して、最後までやらせる

①Terminal-Benchは、スタンフォード大学とLaude Instituteが主導し、MIT・CMU・UC Berkeley含む43以上の組織が参加して作られた試験です。2.0版は89タスクで構成され、コミュニティ投稿229件から厳選されました(論文2026年1月)。各タスクは「指示文+Dockerイメージ+テスト群+模範解答+制限時間」の形で用意され、ターミナルで実際にコマンドを打ちながら、タスクを最後まで完遂させます。分野はソフトウェアエンジニアリングが最大で、ほかに動画処理、パーソナルアシスタント、暗号解析、ネットワーク設定、データ分析などが含まれます。1タスクあたり約3時間の査読工数がかけられ、不正な攻略手段(exploit)が使えないかまで確認されています。

②人間に例えると、パソコン1台を渡して「これ、最後まで自分でやっといて」と丸投げする試験になる。手取り足取りは、もうない。

③点数が高いモデルは、手順の長い作業を、途中で人の助けを借りずに最後までやり切れるということになる。熟練したエンジニアでも47.3%のタスクは1〜24時間かかると見積もられているほどの難易度です。それでもフロンティアモデルの正答率は、まだ65%に届いていない。

④コードを書かない人には直接関係が薄い。ただ、「複数の手順が絡む長い作業を、途中で放り出さずに最後までやれるか」という発想そのものは、日々の複雑な作業を任せるかどうかの判断材料になる。

BFCL|正しい道具を、正しく使えるか

①BFCL(Berkeley Function Calling Leaderboard)は、UC Berkeleyが手がけるGorillaプロジェクトの試験です(論文はICML 2025)。論文時点で5,551件のquestion-function-answerペアがあり、Python・Java・JavaScript・REST API・SQLに対応しています。正しい関数を選び、正しい引数を作って呼べるかを、複数呼び出し・並列呼び出し・マルチターンを含めて採点します。採点はAST(構文木)照合、実際に関数を実行しての戻り値照合、マルチターンではバックエンドの状態照合、完全一致の4通りです。

②人間に例えると、いくつも並んだ道具の中から、いま必要な道具だけを選んで、正しい持ち方で使えるかを試す試験になる。

③この試験には、Irrelevance検出という重要な項目があります。ツールは与えられているが、呼ぶべきでない場面(必要な引数がない、適切な関数がない)では、呼ばないことを正解とする採点方式です。点数が高いモデルは、複数のツールを連携させたときに、余計な呼び出しをして暴走しにくいということになる。

④直接コードを書かない人には関係が薄い。ただ、AIに検索やカレンダー登録などの外部ツールを使わせている人にとっては、「いらんときに勝手に道具を使わへんか」がそのまま安心感につながる指標になる。

τ-bench|話しながら、システムを操作する

①τ-bench(TAU=Tool-Agent-User)は、Sierraが2024年6月に発表した試験です(ICLR 2025)。retail 115タスク(ユーザー500・商品50・注文1,000のデータベース)とairline 50タスクで構成されています。LLMがシミュレートする顧客と対話しながら、APIを呼び、業務ルール(社内規定)を守ってタスクを完遂させます。

②人間に例えると、電話サポートの窓口担当を、実際の顧客対応まで含めてAIにやらせる試験になる。

③採点は、会話の中身やなく、会話が終わった時点のデータベースの状態を、目標状態と比較して行われます。部分点はありません。「感じよく話せたか」やなく「注文が正しく変更されたか」で見る。仕事は結果で見られる、という当たり前が、そのまま試験の設計になっとる。

2025年6月にはτ²-bench(Dual-Control)が追加され、エージェントだけでなくユーザー側にもツールがある設定(電話サポートで顧客に端末操作を案内するイメージ、Telecom 114タスク)が加わりました。2026年3月のτ³-benchでは、非構造の社内ドキュメント698文書・21カテゴリ・約195Kトークンを検索させるτ-Knowledgeと、訛り・雑音・割り込みを含む音声評価τ-Voiceが追加されています。τ-Bankingはフロンティアモデルで約25%(該当文書を直接与えると40%)、τ-Voiceは音声26〜38%に対しテキストでは85%という水準です。

④直接コードを書かない人にも関係がある試験や。カスタマーサポートや予約対応をAIに任せたい人にとっては、この試験がいちばん実務に近い。

「たまにできる」と「毎回できる」は違う

τ-benchには、pass^kという独自指標があります。pass@k(k回の試行のうち1回でも成功すればカウント)とは逆に、k回の独立試行が全部成功する確率を測る指標です。

gpt-4oでも、retailのpass^8は25%未満でした。8回中1回でも成功すればいい基準やなく、8回続けて全部成功する確率でみると、この数字まで落ちる。「たまにできる」と「毎回できる」は、まったく別の話や。業務に組み込むなら、見るべきはこっちの数字になる。

IFEval|賢さやなく、言うことを聞くか

①IFEvalは、Googleとイェール大学が2023年11月に発表した試験です。約541プロンプト・25種類の「検証可能な指示」を対象に、Keywords、Language、Length Constraints、Detectable Content、Detectable Format、Combination、Change Cases、Start with/End with、Punctuationの9群に分かれています。採点は完全な機械判定(LLMによる判定は使わない)で行われ、4つの指標のうちinstruction-levelは指示単位で数えるため部分点があります。

制約の実例はこうなる。

  • 「400語より多く書け」
  • 「カンマを一切使うな」
  • 「マークダウンの箇条書きをちょうど3個にせよ」
  • 「出力全体をJSON形式で包め」
  • 「回答をすべて小文字にせよ」
  • 「この語句で正確に終われ。余計な言葉を足すな」 ②人間に例えると、内容の正しさやなく「言われた形式を、そのまま守れているか」だけをチェックする試験になる。文章の質は関係ない。

③これ、AIに記事やSNS投稿を書かせている人が、毎日ぶつかっとることそのままや。「賢いはずやのに、字数を守らへん」「箇条書きの数が違う」の正体が、ここにある。GPT-4でも、prompt-level strictでは76.89%でした。4回に1回は、どこかの指示を落としているということになる。

IFEvalの指示カード6枚。400語より多く/カンマ禁止/箇条書きちょうど3個/JSONで包め/全部小文字/この語句で終われ、とGPT-4でも76.89%の札

④コードを一切書かない人にこそ、いちばん関係が深い試験や。AIに文章の分量や形式を指定して書かせている人は、この数字を思い出してほしい。守れないのは、あなたの指示が悪いからやなく、指示遵守そのものが、賢さとは別に鍛えられている能力やからや。

strict と loose の違い

IFEvalには、strictとlooseという2つの判定基準があります。looseは、マークダウン記号の除去、最初の行の除去、最後の行の除去とその組み合わせなど、8種類の変換をかけてから判定します。これは「実質は指示を守れているのに、前置きの一文があるせいで機械的に不正解にされてしまう」という偽陰性を減らすための工夫です。

同じIFEvalという名前でも、strictで見るかlooseで見るかで数字が変わります。数字を見るときは、どちらの基準かも確認しといたほうがええ。

AutomationBench|業務そのものを、最後まで

①AutomationBenchは、Zapierが2026年4月に発表した試験です。公開600タスク(+非公開セット)を、47のシミュレートSaaSアプリ・約500のAPIエンドポイントを使い、Sales・Marketing・Operations・Support・Finance・HRの6分野にまたがって実行させます。

させることは、コードを書くことやありません。使えるエンドポイントを自力で見つけ、相互に依存する複数の呼び出しを順に実行し、多層の業務ルールを守り、無関係・誤誘導のレコードが混じった環境を切り抜けることです。アプリをまたいだ調整も必要になります。採点は決定論的な最終状態アサーションで、LLMによる判定は使いません。主指標task_completed_correctlyは、全部通過して初めて1点になり、部分点は順位に反映されません。

②人間に例えると、複数の業務システムのログイン情報だけ渡されて、「この業務フロー、最後まで自分で回しといて」と言われる試験になる。

③点数が高いモデルは、複数の業務ツールをまたいで、ルールを一つも破らずに一連の作業をやり切れるということになる。Zapier公式リーダーボード(v1.0.6)では、Gemini 3.7 Flash (High)が30.44%で1位、Claude Opus 5 (Max)が26.94%、Claude Opus 5 (XHigh)が25.27%でした。

④コードを書かない人にこそ、いちばん本命の試験や。「業務をAIに丸ごと任せられるか」を測る試験がこれになる。1位でも30.44%という数字が、まだ人の確認が必要な段階であることを、正直に示しとる。

AutomationBenchの環境図。47のアプリのアイコン群と、その間をつなぐ矢印、業務ルールの札、1位30.44%の表示

FrontierCode|動くだけやなく、品質を見る

①FrontierCodeは、Devinの開発元であるCognitionが2026年6月8日に発表した試験です(1.1は2026年7月7日)。150タスク・36の主要OSSリポジトリ(Celery、Budibase、uppy、Mattermostなど)を対象に、20名以上のメンテナ本人が問題を作成しています。

②人間に例えると、実際にそのプロジェクトを運営している人が「これ、ちゃんとうちの基準で使えるレベルで直して」と依頼するのに近い。

③させることは、新機能の実装からリファクタリングまで幅広く、「正しく動く」だけやなく、プロダクション品質のコードかどうかまで見ます。採点はユニットテストとLLMによるルーブリック審査、研究者の手動レビューを組み合わせ、blocker基準でpass/failが決まったうえで、加重集計スコア(0〜100%)が出ます。1.1では、最難50問だったDiamondサブセットが廃止されました。解答率が低すぎてノイズが大きかったためです。

④直接コードを書かない人には関係が薄い。ただ「動けばOK」やなく「実際の現場基準を満たしているか」まで見るという発想は、AIの成果物をどこまで信用していいかを考えるときの、1つの物差しになる。

3行表の2列目を埋める

第1回・第2回で書き出した3つの仕事に、この回で出てきた指標を当てはめてみる。①長文の記事を書く仕事はIFEvalに効いた。②リサーチする仕事は、ツールを使わせるならBFCLに効いた。③作ったプログラムを直す仕事は、SWE-bench系・Terminal-Benchに効いた。

確認項目AI大将の場合あなたの場合
仕事① 長文の記事を書く字数・構成・形式の指定を守ってほしい → IFEval______
仕事② リサーチする検索やツールを使わせるなら → BFCL______
仕事③ 作ったプログラムを直す既にあるものを読んで直す → SWE-bench系・Terminal-Bench______

判定の目安はこうなる。書かせた文章の形が毎回崩れるなら、IFEvalを見て、strictとlooseのどちらの基準かも確認する。複数のツールを連携させたいなら、BFCL、特にIrrelevance検出を見る。業務そのものを丸ごと任せたいなら、AutomationBenchとτ-benchを見るが、1位でも30%台やから、まだ人の確認が要る。AIに作らせたプログラムを直してもらうなら、SWE-bench Verified(500件)を見る。オリジナルの2,294件とは数字が違う。

8指標を「部品を作る」「既存を直す」「道具を使う」「業務を回す」「指示を守る」で並べた地図。3行表の2列目が埋まった状態

この群を見るときの落とし穴

  • 名前の後ろを見ずに比べる:SWE-bench、Verified、Proはそれぞれ中身が違う。数字だけを並べて比較しない
  • HumanEvalの高得点で実務を判断する:164問はどれも1つの関数の範囲。大きなコードベースを扱う力は測れていない
  • pass@1とpass^kを混ぜる:「1回でも成功する確率」と「毎回成功する確率」はまったく別の数字
  • IFEvalのstrictとlooseを混ぜる:判定基準が違えば、同じ試験でも数字が変わる この4つのどれかをやると、正しい数字を持っていても、間違った結論に着地してしまう。

よくある質問

Q. AIが文字数の指示を守らないのは、何の性能の問題ですか。 A. 知識量や推論力の問題ではなく、指示遵守という別の能力の問題です。この能力を測るのがIFEvalで、GPT-4のような高性能なモデルでも、prompt-level strictの正答率は76.89%にとどまります。

Q. HumanEvalで高得点なら、コードを任せて大丈夫ですか。 A. HumanEvalは1つの関数を書く164問の試験です。複数ファイルにまたがる修正や、既存コードとの整合を取る作業までは測れていません。実際の開発現場に近い作業を見たいなら、SWE-benchやSWE-bench Verifiedの数字を確認してください。

Q. SWE-benchとSWE-bench Verifiedは、どちらを見ればいいですか。 A. SWE-bench Verifiedのほうが、実務判断には適しています。オリジナルの2,294件には、Issue記述が不十分な問題や、テストが厳しすぎる問題が含まれていましたが、Verifiedはそれらを人手で除外した500件だからです。

Q. 業務をAIに丸ごと任せるのは、まだ早いですか。 A. AutomationBenchの1位でも30.44%という数字が、現状を示しています。業務ルールを一つも破らずに最後までやり切れる割合が3割程度ということで、丸ごと任せるより、人の確認を挟みながら使う段階です。

Q. 自分でコードを書かないのですが、この回は関係ありますか。 A. 関係があります。IFEvalは文章の指示遵守を測る試験で、記事やSNS投稿の分量・形式を指定して書かせている人に直結します。AutomationBenchやτ-benchも、業務ツールをAIに操作させたい人にとっての本命の指標です。

Q. pass@1とpass^kは何が違うのですか。 A. pass@1は1回の試行で成功したかを見る指標です。pass^kは、k回の独立した試行が全部成功する確率を見る指標で、τ-benchで使われています。「たまにできる」のか「毎回できる」のかという、違う問いに答える数字です。

次回は、資料と画像を読む力

この回では、賢さとやり切る力は別物やということを、8つの試験で見てきた。次回はまた視点が変わる。

第4回では、長い文書や画像、複数の資料をまたいで理解する力を測る指標を扱う。読む力もまた、知識とも、やり切る力とも別の能力になる。

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